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千葉地方裁判所 平成4年(わ)87号 判決 1992年7月23日

本籍

千葉県木更津市請西八九七番地

住居

右同

会社役員

岡田房夫

大正一〇年五月一七日生

本籍

千葉県木更津市請西八九七番地

住居

右同

会社役員

岡田としゑ

大正一四年九月二日生

右両名に対する所得税法違反各被告事件について、当裁判所は、検察官長野正義出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人岡田房夫を懲役二年及び罰金三五〇〇万円に、被告人岡田としゑを罰金五百万円に処する。

被告人岡田房夫に対し、この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

被告人らにおいて、その罰金を完納することができないときは、いずれも金五万円を一日に換算した期間、その被告人を労役場に留置する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人岡田房夫は、千葉県木更津市請西八九七番地に居住し、同市畔戸字入江一五三八番地ほか二一筆の雑種地を所有していたもの、被告人岡田としゑは、被告人岡田房夫の妻で、同市請西八九七番地に居住し、同市畔戸字入江一五三七番地ほか一〇筆の雑種地等を所有していたものであるが、

第一  被告人岡田房夫は、自己の所得税を免れようと企て、千葉県木更津市畔戸字入江一五三八番地ほか二一筆の右雑種地の譲渡による収入を除外する等の方法によりその所得を秘匿した上、平成二年分の実際総所得額が二五八八万二二二九円、分離課税による長期譲渡所得額が八億九三五三万九五四四円であったにもかかわらず、平成三年三月一三日、木更津市富士見二丁目七番一八号所在の所轄木更津税務署において、同税務署長に対し、同元年分の総所得額が二五八八万二二二九円、分離課税による長期譲渡所得額が二億二一九万八〇〇〇円でこれらに対する所得税額が合計五三四〇万七一〇〇円である旨虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額二億二六二四万二三〇〇円と右申告税額との差額一億七二八三万五二〇〇円を免れ

第二  被告人岡田房夫は、被告人岡田としゑの財産に関し、被告人岡田としゑの所得税を免れようと企て、千葉県木更津市畔戸字入江一五三七番地ほか一〇筆の右雑種地の譲渡による収入の一部を除外する等の方法によりその所得を秘匿した上、平成二年分の実際総所得額が一〇九万五〇〇〇円、分離課税による長期譲渡所得額が三億四六六万九四〇〇円であったにもかかわらず、平成三年三月一三日、木更津市富士見二丁目七番一八号所在の所轄木更津税務署において、同税務署長に対し、同元年分の総所得額が一〇九万五〇〇〇円、分離課税による長期譲渡所得額が二億一六四八万三二七五円でこれらに対する所得税額が合計五二一七万七〇〇円である旨虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告人岡田としゑの同年分の正規の所得税額七四二一万七二〇〇円と右申告税額との差額二二〇四万六五〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人両名の検察官に対する各供述調書(四通)

一  菅原長茂(二通)、森之、平野直江及び小川哲也の検察官に対する各供述調書

一  木更津税務署長作成の各証拠品提出書

一  大蔵事務官作成の領置てん末書(検察官証拠請求番号甲4、6)脱税額計算書(甲10、15)、脱税額計算書説明資料(甲11、16)及び各調査書(五通、甲12ないし14、17、18)

一  検察官作成の各捜査報告書

一  検察事務官作成の各謄本作成報告書及び電話聴取書

(法令の適用)

一  罰条 所得税法二三八条

第二につき、さらに同法二四四条一項

二  刑種の選択 (被告人岡田房夫につき)懲役刑及び罰金刑

三  刑の執行猶予 (被告人岡田房夫の懲役刑につき)刑法二五条一項

四  労役場留置 刑法一八条

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 山口均)

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